子供の事故 ヒヤリハットの共通点 認知バイアスが働いた…

そういえば、先日のダンスレッスンの際、危うく子供が怪我をしそうになり、ヒヤッとした場面がありました。いわゆるヒヤリハットの案件です。

 

ヒヤリ・ハットとは、重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の認知をいう。文字通り、「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりするもの」である。

 

ヒヤリ・ハット - Wikipediaより引用

 

レッスンが始まる前、子供達が逆立ちの競争を始めました。

 

通っているのは小学生クラスなのですが、うちの子は小学一年生で最年少。一人で逆立ちなどできません。

 

ですが、周りのお姉さん達が楽しそうに逆立ち競争するのを見て、うちの娘も果敢にチャレンジしだしたのです。

 

少し離れた所で座っていた私はそれを見て

 

あ、危ないかも…

ヤバイ、これは止めないとヤバイ…

 

と思ったのですが、でも大丈夫かもしれないとも思い、動くことが出来ず、声を出すこともできず、そのまま座ってしばらく様子を見入ってしまったのです。娘の横にいたら、必ず支えようとしたはずです。

 

動けず固まったまま、一人で逆立ちする娘を見ていると…

 

危ないっ!!!

 

勢い良く逆立ちした後、腕が体重を支え切れず、肩が曲がってはいけない方向に…!!

 

ヤバイ!脱臼する!!

 

その瞬間、

 

パッ!

 

たまたま横で立っていた小学生のお姉さんが娘を抱きかかえ、支えました。

 

フー。。。あぶね〜。。。。やばかった。。

 

と、ことなきを得たのですが…。

 

娘もヒヤッとしたのでしょう。すぐに私のところに寄ってきて

ビックリした〜…

みたいなことを言いました。

 

私も一人で逆立ちなんてできないんだから無茶なことしないでとたしなめたのですが。。。

 

いや〜、ほんとヒヤッとしましたわ。。

 

娘を育ててきて、過去にも二回ヒヤリハットがありました。どのケースにも共通するのは、日常ではなく、非日常の場面で起こっているということです。

 

今回はダンスレッスンで、そのレッスン前のひと時。

過去の二回は旅行中です。

一回は、旅行中に2段ベッドのハシゴから転落したとき。

もう一回は旅行中に私が割り箸をくわえて寝っ転がっていたときに、娘が私にダイブしてきたとき。娘のオデコに割り箸が刺さりました。オデコだったのでなんともなかったのですが、これが目とかにズレてたらと思うと、今でもゾッとします。。

 

いずれにしても、普段と違う時にヒヤリハットは起きているのです。

 

一つ言えることは、

非日常的な場面に注意!!

ということ。

 

そして、今回のヒヤリハットについて付け加えると、認知バイアスってのが働いたんだと思います。

 

一つは正常性バイアス

 

正常性バイアス(せいじょうせいバイアス、英: Normalcy bias)とは、認知バイアスの一種。社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で[1]、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。

自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい[2]、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価するなどして、逃げ遅れの原因となる[3][2][4]。「正常化の偏見」[5]、「恒常性バイアス」とも言う。

 

(災害時に)実際にパニックが起こるのは希なケースであるとされ[8][11][12][1]、むしろ災害に直面した人々がただちに避難行動を取ろうとしない原因の一つ

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%25E6%25AD%25A3%25E5%25B8%25B8%25E6%2580%25A7%25E3%2583%2590%25E3%2582%25A4%25E3%2582%25A2%25E3%2582%25B9より引用

 

冷静であれば絶対に何かしらの対応したのに、その場で娘の危機を目にしたとき、ヤバイヤバイと思いつつ、でも大丈夫かな、と様子を見てしまった。

 

完全に思考がおかしくなっていたと思います。

 

そして厄介なことに、今回もう一つ作用したのが、

 

多数派同調バイアス

自分以外に大勢の人がいると、取りあえず周りに合わせようとする心理状態のこと。

多数派同調バイアスとは - はてなキーワードより引用

 

 

 

その場にいたのは、小学生の生徒が7,8名と先生、親御さんが数名。

そういう中で始まった逆立ち競争。

 

危険を感じつつも、動けなかったのは、周りを気にしてしまったからに他ならないのです。

 

この同調バイアスは本当に強力に働くと思います。分かっているのに動けなくなるのです。そして、正常性バイアスが働き、まぁ何とかなるか…と動かない自分を正当化してしまう。

恐ろしい作用ですよね。。

 

 

 

この二つの認知バイアスが重なった結果、今回のヒヤリハットが起きたと言えます。

 

重大事故に繋がらなくて本当に良かった。。。

 

思い出すのは、昔、友人に誘われて参加した自己啓発セミナーでの出来事。

事前に調べてから覚悟して参加したので、なんとか逃れられましたが、会場には非常に強力な同調圧力が働いていて、その場で立ち去ることなど出来ない雰囲気。ましてや、否定的な発言などもできません。

 

セミナー側も上手く同調圧力を悪用していることがよく分かります。分かっていても断ること、立ち去ることが難解なのに、ましてや意識していないと、自分を正当化して本来ならしない判断をしてしまうのでしょう。

 

セミナーなら決断するのに時間的猶予がありますが、今回のように猶予が無い場合は問題です。様子見しているうちに事故が起きてしまうのです。

 

今後、そんな場面を迎えたとき、自分は果たして動くことができるのか。

 

これはその場面だ、バイアスかかっている場面だと気づき、何より大切なものを守るためにバイアスに打ち勝ち、適切な行動を選択することができるのか。

 

ヒヤリハット300発生のうち、軽い事故につながるのは29件、重大事故につながるのは1件と言われています。


ハインリッヒの法則は、労働災害における経験則の一つである。1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというもの。「ハインリッヒの災害トライアングル定理」または「傷害四角錐」とも呼ばれる。 ハインリッヒの法則 - Wikipediaより引用

 

これからもヒヤリハットの場面は起こり得ると思います。

 

その時に適切な行動ができるよう、こういったケースから学び、重大事故を防いでいきたいものですね。

 

正常性バイアスを取り上げた本はこんなのがあります。災害時に注意すべき行動心理なんだそう。

人はなぜ逃げおくれるのか ―災害の心理学 (集英社新書)

人はなぜ逃げおくれるのか ―災害の心理学 (集英社新書)

 

 

 

 

きちんと逃げる。―災害心理学に学ぶ危機との闘い方

きちんと逃げる。―災害心理学に学ぶ危機との闘い方